花棕櫚の 音さらさらと 風わたる  故・早川光子句

 ギャラリーの名前のもとになった俳句です。遠く関東に住んでおられた早川光子さんの俳句です。

21年前、2001年七月に古民家をリノベーションして、(当時はリフォームと言っていましたね。)ギャラリーを開設しようとしていた時です。名前を付けるのに苦労していました。

 

 当時、インターネットが騒がれ始めたころ、この俳句に出会いました。90歳になられた早川さんの娘さんが俳句集をインターネットに上げられいました。

 大工さんにも庭師さんにも切るのを断られた棕櫚の木、庭の通り道の真中に立ちはだかり、邪魔ではないかと思われてた木でしたが、棕櫚の木のことを調べていると、仏教にも、キリスト教にも、ユダヤ教にも吉祥樹ということがわかりました。凛とした立ち姿が凛々しくみえました。ただ、棕櫚とするのではなく『花』とつけることで、言いやすく語順もよいときがつきました。

 俳句の季語でもあり、多くの歌人が歌に詠んでいました。その中で見つけた早川さん句にいたり、飛び上がりたいほど、感動しました。まさに風がさらさらと渡る空間でありたいと思ったのです。早速、手紙で連絡を取り、ご紹介させて頂くこと、店の名前にしたい旨をお伝えすると喜ばれました。

その後、ご高齢で手が不自由になられた光子さんのかわりに洋子(ひろこ)さんが書をしたためてくれました。短冊と色紙は、ずっと花棕櫚に飾られています。色紙の台は、新城在住の西村雅子さんが開設当初に竹で編んでくれたものです。


 花棕櫚にとって、初めてのアートの出会いでした。始まりの始まりです。

21年前は、インターネットは、なんだかわかりませんでしたが、世界が拡がり、また世界を縮めてくれました。


ギャラリー花棕櫚

100年の時を経た古い家が甦ります。 温もりのある作品で新たな命と風を吹き込みます。

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