前野さんの絵は、飽きることがありません。
細密画のような絵、絵具で描き入れるのではなく、一遍一遍小さな切地で埋め尽くしていきます。
これは、新城市の四ツ谷の千枚田を描いたものですが、左隅の石垣は苔むしていて、どこから灰色の布に濃い緑の苔のような色が入り、まさに年月を重ねたような石垣。苔むした石垣の為の布ではないのだろうが、着物の5ミリ四方の布を選び出していく彼女の情熱にも頭が下がる。絹の光沢、深みのある色、着物の美しさに息をのむ思いでうs。
千枚田の水面も風をうけて波打っています。これは無地の羽織からだろうか?
遠くの木々は、なだらかな稜線を描かれ、木々の緑も細かく、それぞれの色で・・・。
これは、古いちりめんだろうか?新し丹後ちりめん?江戸小紋、緞子?どんな着物だったんだろうか、着物の好きな方には、魅いってしまう。
絵として鑑賞するもよし、着物の切地をたどるのもよし、その美しさには、息をのむ思いです。
馬篭の石畳、」石垣、蔵のなまこ壁の一片、石段の影、
アケビの皮は、グレーと紫が微妙に差し色になっています。もっと大きな布だったんでしょうが、これを見つけた特にアケビの厚い皮にしようと思ったとのこと。切地の出会いに感動です。下地のピンクがかった肌色の布も素敵です。
物語が紡がれた絵は、何時間でも見いってしまいます。
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